VPN(Virtual Private Network)=バーチャルプライベートネットワークという言葉を聞いたことがあるでしょうか? 日本に住んでいる場合はあまり聞きなれない言葉かもしれませんが、海外にお住いの場合は知らないと大変損する大切な用語です。聞いたことはあるけど実際に何をするものかわからない方もスッキリ理解できるようになります。
New! VPNは、世界的に規制される接続手段となりつつあります。WatchJTVはこの事態に備え、海外からでもVPN接続一切不要で日本のコンテンツにアクセスできるウェブパソを販売開始いたしました。詳細はこちら。
1. VPNとは?
1-1. VPNにすると何が起こる?
VPN(Virtual Private Network) ヴィーピーエヌ とスペルで発音します。これは簡単に言えば、海外で使っているコンピュータを丸ごと日本の自宅のネットワークにつなげてしまうということができるようになる接続をいいます。
例えば、海外の自宅にPCが2台あるとします。海外のPCは、海外のインターネットに繋がります。そこへ日本に設置したVPNサーバーにつなぐと、海外でお使いのPCが日本の自宅にあるかのような状態で利用できるということができるのです。
つまり物理的には手元(海外)にPCはあるのですが、接続は日本にあるのと同じ状態になるということになります。
なぜそのようなことをする必要があるのか?それは海外在住者にしかわからない様々な理由が数々存在するためです。
1-2. なぜVPNが必要なのか?
そもそもVPNの大きな目的は、企業間での利用でした。例えば会社の外からオフィスのPCにアクセスする際、誰もかれもが簡単にアクセスするのでは、企業情報が垂れ流しになってしまいます。
そこで登場したのがVPNという接続方法。この接続は、許可されたものしか通信できない特別なトンネルをつくることで外部に情報が漏れることなく安全にアクセスできる通り道を作るというもの。
VPNとは特別なトンネルであり、特定の人しか通ることができないインターネットの通路というイメージなのです。
1-3. 誰がVPNを必要とするのか?
企業レベルでは特殊なトンネルが必要なことは容易にご理解いただけるかと思いますが、これを個人に応用すると海外在住者にとっては必要不可欠なものになってきます。
海外に住んでみて初めてわかることがあります。それは、
- 海外では様々な日本のサービスは使えないこと。(YouTube、Hulu、Tver、Radiko など)
- 日本から持ち込んだ機器(AppleTV、Amazon Fire TV、WiiU、XBox、PS4など)は、日本仕様では使えなくなること。
など渡航してみてびっくり。ということが多々あります。日本では問題なく使えていた機器、問題なくアクセスできていたサイトも、海外に行った途端に突然外国人扱いです。これはたとえみなさんが日本国籍でも、日本製品でアクセスしても結果は同じです。
海外のインターネットにつなげたその瞬間から、お使いのPCもお使いのゲーム機、ストリーミング機器も、サイトもすべて国外アクセスとなってしまうわけです。
(AppleTVのdTVを海外からアクセスした際に出るエラー)
なぜ国外からのアクセスとわかるのか?それは、電話番号でも国際番号と国内番号が違うようにインターネットのアクセス時にも必ずPCにはIPというインターネットの発信元電話番号が付属されてアクセスされる為です。
海外からアクセスする場合は、海外発信元番号からの通信になる為、そのアクセスが海外からなのか、国内からなのかが一目でわかります。その為国内の番号しかアクセスできないよう設定されている場合は、海外からのアクセスができないということになるわけです。
VPN接続を利用すると、海外発信からVPN(日本)に繋ぎ、そこから国内のサイトにつなぐ為、発信元番号が国内に書き換えられます。その為海外からのアクセスでもVPNを通すことで国内アクセスとなるわけです。
1-4. VPNで何が変わるのか?
VPN接続をすると、
- 海外にいても日本と全く同じ動作環境でサービスを利用できる。
- 特殊なトンネルを通るので暗号化されたセキュリティーの高い環境でインターネットができる。
- 海外からはアクセスできないサイトもアクセスが可能となる。
近年大流行しているオンディマンド(インターネット放送)のサイトではほぼ海外からのアクセスはできませんので、海外在住者にとってはVPN接続は欠かせないものになると思います。
2. 何から始めれば良い?何を選べばいい?
GoogleでVPNと検索すると山のようにVPN関連の情報が出てきますが、VPNの接続先をどこにするかには、2つの選択肢があります。
2-1. 業者経由
日本でVPNサーバーを構築している業者と契約をし、そのVPNサーバーと海外を繋ぐようになります。
利点:
導入が簡単であること。設定は海外側のみでソフトをインストールするだけですぐに使える手軽さ。
欠点:
IP(ネットの発信元電話番号)をみんなで共有している為、速度制限、閲覧制限がかかることもある。(Netflixは徐々に業者からのVPN接続を制限してきています。)
コスト: 月々1000円程度
お勧めサービス: PCやスマホで見るならJP VPN接続サービス
お勧めサービス: 海外のテレビで見るならオンディイマンドスティック
2-2. 自宅経由
日本の自宅にVPNサーバーを設置して自宅経由でアクセスするようになります。
利点:
自宅にアクセスするので確実に安全な接続が保証される。規制は一切かからない。
欠点:
VPNサーバー機器の設置する場所が必要。(自宅があるのであればお勧めです)
コスト: 機器導入費用(導入機器による)
自宅経由の場合、機器を自宅に設置するわけですが、選択肢は3つあります。
- 自分で用意したWindows, LinuxなどにVPNサーバーを自分でインストール管理するもの。
- VPN機能のあるルーターを利用し管理するもの。
- VPNサーバーがあらかじめインストールされたパッケージを購入し設置も管理も委託するもの。
2-2-1. WindowsにVPNサーバーをインストールし管理
日本の自宅に使っていないWindowsがあれば、(Windows10がお勧めです)VPNサーバーをインストールし日本に設置し、海外とつなげることができます。Windowsは常時電源を入れておく必要があります。
利 点:
月々の費用はかからない。いらないWindowsがある場合は再利用ができる為、機器導入費用が抑えられる。
不利点:
自分自身でVPNサーバー設定が必要なので、ある程度の知識を要する。またトラブル時の対応は自分で行う必要があるので上級者向けといえる。
コスト: Windows(4-6万)
Windows10のシステムがお勧めです。
2-2-2. ルーター
日本で今使っているルーターを、VPN機能が付いているルーターに置き換えることによってルーターをVPNサーバーとして利用する方法。
利 点:
月々の費用はかからない。設定がウィンドウズに比べて簡単
不利点:
自分自身でVPNサーバー設定が必要なので、ある程度の知識を要する。またトラブル時の対応は自分で行う必要があるので上級者向けといえる。
コスト: 2-3万程度
お勧めルーター: ASUS RT-AC87U(OpenVPNが使えます)
2-2-3. VPNサーバーパッケージ(初心者お勧め!)
VPNサーバーとしてすでにパッケージ化されたものを購入し導入すれば、設定などの面倒な作業は一切不要で簡単に自宅にVPNサーバーを構築できます。自宅のルーターにLANケーブルでつないで電源をいれるだけで設置は完了。設定は一切不要でご利用できるVPNサーバーパッケージがお勧めです。
利 点:
VPNサーバーとしての必要なものがすべてパッケージ化されているので、専門知識一切不要で設置ができる。トラブル時の対応も丸ごとお任せできる。
不利点:
月々の費用が1000円ほどかかる。(管理費用)
コスト: 2-4万程度
お勧めサービス:
自宅サーバーパッケージ(2種類から選択可能)
値段は機器のスペック(機能)に依存する為、VPNをよく使うのであれば、機能が高い(価格が高い)方をお勧めします。
3. 海外側での利用手順
日本側の環境が整ったら、今度は海外側の環境を整えることになります。基本的にVPNで接続できるのは、コンピューターやスマホがメインですが、近年オンディマンドスティックの登場で今までつなげなかった様々な機器もVPN接続することができるようになっています。
3-1. PC、スマホへのVPN接続
お手持ちのWindows、Mac、iPhone、iPad、アンドロイド機器に、OpenVPNという無料ソフト/アプリを入れることで日本のVPNサーバーと簡単に接続できるようになります。
3-2. 機器も丸ごとVPN
VPNの接続をするには、上記の手順で各機器にOpenVPNというソフトをインストールする必要があるのですが、残念ながらPCやスマホ以外はそのようなソフトをインストールできません。
例えば、
ゲーム機であればWiiU、プレーステーション、XBoxなど。
ストリーミング機器であれば、Amazon Fire TV、AppleTVなど。
家電レコーダーであれば、オンディマンドが視聴できるレコーダーなど。
これら機器自体にソフトがインストールできない場合は、機器へのVPN接続ができません。そこで、オンディイマンドスティックをテレビに取り付けることでこの問題が一気に解消されます。
オンディマンドスティックとは、海外のテレビHDMI端子にさし他の機器とつなげることで機器を丸ごとVPN接続ができるVPN専用スティックです。
4. 導入手順
4-1. 日本に自宅サーバーを設置するなら
用意するもの:VPNサーバー(日本側に設置)
使える機器: スマホ、PCのみ
(AppleTV他の利用をご希望であれば、海外側にオンディマンドスティックを追加することで可能です。)
利用制限: 一切なし
4-2. 海外側だけで簡潔に済ますなら
用意するもの:オンディマンドスティック(海外側)
使える機器: スマホ、PC、AppleTV、Amazon Fire TV、WiiU、PS4、XBox他
利用制限: あり
お勧めサービス:オンディマンドスティック(海外側)
4-3. 海外側だけで簡潔に済ますなら
用意するもの:なし
使える機器: スマホ、PC
利用制限: 共有の為、制限あり
お勧めサービス:JP VPN接続サービス
付録. 今すぐVPN導入できるオンディイマンドスティック
2019年以降、NHKがテレビ放送を全てリアルタイムでインターネット配信することが発表されました。これに伴い、日本でもどんどんオンディマンドでのテレビ視聴が今後増えてくると思います。
業者での設置は簡潔な半面、多数の人で共有しているため、オンディマンドからの規制がかかることが今後予想されます。(発信元アドレスが同じ番号で使われているため)
これを回避するには、自宅に自分専用のVPNサーバーを設置することが一番確実かつ、安全な方法になるかとおもいます。
VPNサーバーは自分で設置、管理するには非常にハードルが高いものですが、インストール済みのVPNパッケージでご利用になれば設定は一切なしで簡単にVPNサーバーの構築が可能となります。